
沖縄移住のきっかけ
これはもう沖縄移住してからずっとなんですけれど、初めて会ったすべての方におそらく聞かれている質問だと思います。
もしかしたら、33年前に離れた地元である札幌でも幾度となく聞かれている質問かも知れません。
「なんで沖縄に来たの?」
なんでかって、それは私が聞きたいくらいです。
実際に分かってないんです。
だって私たち、沖縄のことって何にも知らなかったし、33年前のバブル景気真っ盛りの頃、まだ「沖縄移住」ってフレーズが甘言のように使われている時代ではなかったんです。
だから沖縄のことを何も知らず、まぁ札幌と較べたら雪が降らないだけいいんじゃないの?くらいのノリだけで来ちゃったんです。
ノリと勢いだけで沖縄に住む計画を立てたんですけれど、口の悪い年長者は私たちの無知につけこんで「オマエら分かってんのか?沖縄行くにはパスポートがいるんだぞ?」とか、いらんことを言ってくれたりしたものです。
もちろんこれは大ウソで、普通に航空券を買ったらあとは飛行機に乗っただけで沖縄に着いちゃったんですけれど。
さきほど「私たち」って書きましたが、「沖縄に住んでみようと思う」って最初に言ったのは友人だったんです。
「アタシも行きたい、一緒に行こうよ」って乗っかったのが私なんです。
その頃、私は23歳で彫金のアトリエで仕事をしていました。
デザインから販売までトータルで仕事をさせてもらっていたので、やり甲斐のある仕事ではあったんですが、いかんせんバブル期の若い女の子にはキラキラ度が少ない職場でした。
差し入れにいただくみたらし団子をガスバーナーで炙って食べるくらいしか娯楽がないとか、眼球に強硝酸が飛んで来て火傷したりとか。
そんなんじゃなくて今では目を疑われるワードでしょうが、ハウスマヌカンみたいな仕事に本気で憧れていたんです。
憧れるのは勝手だからそれはそれでいいんですが、彫金アトリエの居心地が悪くなかったばかりに、4年も5年も居続けて、結果飽きちゃったんでしょうね。
それから彼氏がいなかったこと。
そりゃ私だって好きな男性のひとりやふたりいましたよ、ただハナっから相手にされてなかっただけで。
大まかにそんなふたつの理由だけで今で言う沖縄移住を決めてしまったんだから、これはちょっとやり過ぎだったかも知れません。
言い訳だけしておくと、他の友人たちがみんなニューヨークやらパリだったりオーストラリアなど海外に行っちゃっていたんです。
英語が話せない私たちは、かろうじて日本国内の沖縄に行くことでとても謙虚な判断をしたつもりになっていたんです。