頼む、リーコを1時間だけ

いっしょにバイトをしていた子たちで、小浜島の集落内の民家の離れを借りていた若いカップルがいたんです。
タクミ君は私と同じ歳で、ナイチヤァ。
リーコは沖縄本島から来ている子。
涼子って名前が沖縄風の呼びになるとリーコってなるみたいです。

以前にも、「ミーツミート」こちらの記事で登場しましたが、ポーク缶をくれたミーナも漢字で書くと「美奈」とかそんな感じです。
「綾子」がアーヤとか、「さやか」がサーヤとか、沖縄では一人称が名前で、それも長音で伸ばして呼ぶことが多いんです。

こんなのは沖縄の方言のうちに入らないんですけれど、言い回しとして、長音の入る伸ばす音は発声してみて体に無駄な力が入らず、亜熱帯の島ではリラックスして発声できるように感じます。
発声しやすいだけでなく、ミーナとかアーヤとか呼び合っているのを聞くと、ヤシの葉が風に揺れて重なり合うような親しみやすさを感じます。

リーコはその時19歳とまだ若くて、タクミだけが頼りみたいなところがあったようで、人懐っこいんだけどシャイなウチナンチュらしさの強い子でした。

いつだったかの夕方、リーコがひとりで外を歩いていたので声をかけたことがあったんです。
「あぶないから早く帰りなよ」って言ったら、「タクミとケンカしてから、タクミいなくなりよった」と泣き出しそうになっているんです。

そんなリーコをいじらしく思ったんですけど、「ここは小浜だよ、どこまで行ったってここは小浜さー」って言ったら、その時初めてリーコは笑顔を見せたんです。
「そうだね、おうちでタクミを待つね」ってリーコも反対方向の家に向かって行き、私たちも安心したんです。

小浜島の女不足

タクミはもともとの気質が陽気で豪胆な子だったから、リーコとケンカとは言っても、大した理由ではなかったでしょうし、お互い根に持つような気質の子ではないので、すぐに仲直りしていたみたいなんですけれど、ある朝出勤したら、タクミがとっておきの笑い話をしましょうか的な顔をして待ち構えていて、「昨日さー、島のヤツがうちに来てさ」って言うんです。

例によって例のごとくの結婚できない小浜島の長男ズのメンバーがなんかやらかしたんでしょ?って、聞いてみたら、どうもある長男ズがタクミとリーコの住まいへ行き、神妙に土下座してから、「頼む、リーコを1時間だけ貸してくれ」ってタクミに懇願したんだそうです。

「誰よ?ソイツ?」デリカシーのないタクミに聞いたら教えてくれたはずなので、その男は永久ブラックリスト行きにすることもできたんですが、私たちにも聞いていいことと悪いことはあると思ったので、そこは謎のまま残しておきました。

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“頼む、リーコを1時間だけ” への2件の返信

    1. >山本さま

      老いも若木もターゲットになる島ですから、ほんとうに枕を高くして眠れたことがなかったです。
      カナブンもうるさかったし。

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